サウナでADHDが治った体験をした
先月サウナに行き、数日のあいだ性格が変わる体験をしました。
これ見る人が見ればわかると思うんですが、要は「ADHDが治ってる」んですよ。
そして調べると、サウナがADHDに効果あるという人は多くいるようでした。
これをふまえると、「サウナでADHDが改善」はある程度再現性があるとは言えそうです。
この記事では、自分の体験をベースになぜサウナがADHDに効果があるのか理由を考えていきます。
サウナの入り方について
まずは自分のサウナの入り方から振り返ってみます。
基本は「サウナ→水風呂→休憩」の3セットなど、教科書どおりです。
この辺りは調べればいくらでも出てくるので、そこの説明は省きます。
瞑想
まず自分は無音サウナを選び瞑想の時間としても使っています。
瞑想が良いことっていうのはあらゆる研究でわかってる一方で、日課にするのは結構しんどいんですよね。
一方サウナの方だと気持ち良いから習慣化しやすいし、逃げ場がないからなんだかんだ1時間半できるんですよね。
気分によって瞑想の種類は変えていますが、呼吸に注目するマインドフルネス瞑想が多いです。
呼吸
呼吸についてですが、自分はシステマ・ブリージングを行なっています。
システマはロシアの格闘術で、すごくシンプルな呼吸法です。
- 鼻から吸って、口をすぼめ口から音が出るくらいの勢いで吐く
システマの呼吸法を極めると、交感神経が優位になるのを抑えられるそうです。
だから「暑い」「寒い」「痛い」などを耐えられるようになるとか。
「システマやってるから痛くない」ってお笑い芸人のネタがありますよね。
サウナ・水風呂は交感神経を優位にするものなので、自分は高地トレーニングみたいな気持ちでシステマ呼吸法をやってみてます。
水風呂
水風呂の時間は1分〜3分ぐらいで人によって違っています。
医学的には息が冷たくなるとちょうど体内に冷気が行き渡ったタイミングで、出るにはベストと言われています。
自分の場合は2分ぐらいで息が冷たくなります。
ただ自分にとっての最適な水風呂の時間はもっと長いです。
まず息が冷たくなってから1分ぐらい経つと、脳が冷える感覚があり、視界が良好になるんです。
「あーあんな場所に時計があったんだー」みたいに今まで気づかなかったことに気づきます。
そしてさらに1分ほど経つと、脳がシャットダウンする感覚に出会うことがあります。
今まで「ウィーー-ーン」って音を出しながら熱を帯びて動いていた脳が、「プツンっ」って切れて無音になる感じ。
ここまで行くと自分としてものすごくうまく行った日で、ADHDが治ってる感覚が数時間復活します。
ただなかなか得られる感覚ではないです。
- 注意しておくと、この状態で水風呂から出るとフラフラするので、医学的にはヒートショックに近い状態だと思います。
- 水風呂に長く入りすぎて命を落とす人もいるため、無理はしないでください。
調子が悪いと水風呂から上がったあと吐き気や動悸がすることがあります。
この入り方は食事直前か就寝前に行ったほうがよく、寝不足など体調が悪いときにはオススメしません。
水風呂の長さ
自分は4分程度とあきらかに一般より長めなんですが、実際にADHDにサウナが効くと言っているかたの記事を見ると水風呂の時間がめちゃくちゃ長いです。
(15分は流石に驚きました...)
投薬治療以外で、ADHDに一番効くのはサウナではないかというお話
個人的にサウナの時間や休憩の時間はそこまで重要ではなく、サウナでの呼吸・意識のもっていきかたや、水風呂の時間がもっとも効果に影響します。
脳に血が巡る感覚
うまくいくと、水風呂を上がったあたりで、脳が重たいような、ぐるぐる血が巡ってるような感覚に出会います。
「脳ってこんな後ろのほうまであったんだ」って感じるぐらい、脳がどこにあるか感覚としてわかります。
さらに、うまく行った日はこめかみのあたりに血が巡ってる感覚が長く残ります。
おそらく側頭葉のあたりで、
- 聴覚
- 味覚
- 情動
を司る場所です。
サウナに入った後は上記の感覚が鋭くなるため、そこが活発化してると考えると納得感があります。
サウナとADHDの関係性についての考察
以上の経験から、医学的な観点も踏まえ振り返ってみます。
ドーパミン
ADHDの治療薬の1つコンサータは、ドーパミンを増加させる効果のあるものです。
そのためサウナがADHDに効果があるのはドーパミンが原因と捉えている記事は多く見つかりました。
ストレスに耐えた後には快感がついてくるので、報酬系を正常に稼動させるためのトレーニングになっているのではないかという気もします。
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サウナはすこし時間食うけどかなりお手軽だし副作用もない
実際に、サウナでドーパミンが生成されることは以下のように説明されています。
交感神経が活性化している時は、心身を興奮状態に導くアドレナリンが分泌されています。アドレナリンはある程度ストックされていますが、一時的なものなので、たくさん出ると在庫が枯渇します。そこで、空になったアドレナリンを一から生産するために、原料が使われます。その原料が、ドーパミンです。
加藤 容崇. 医者が教えるサウナの教科書ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?
アドレナリンが枯渇しドーパミンが分泌されるのは、水風呂の長さが重要という体験と辻褄が合います。
また、以下のような注意書きもあります。
しかし、ドーパミンが過度に分泌されると、ドーパミンの効きが悪くなり、より多くのドーパミンが分泌されないと快楽を得られなくなります。それが依存性を生みます。
加藤 容崇. 医者が教えるサウナの教科書ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?
いわゆるサウナ歴が長くなるとととのいづらくなる「ととのイップス」はこれが原因の1つかもしれません。
サウナでADHDが治るのはドーパミンが原因だとすると、劇薬的な使い方になってしまいそうです。
ノルアドレナリン
ADHDの治療薬の1つストラテラは、ノルアドレナリンを増加させる効果のあるものです。
水風呂がノルアドレナリンを増加させるのは、以下の本に記載されています。
寒冷療法はさらに、神経伝達物質ノルアドレナリンの放出を起こさせて、痛みを緩和し、もっと抗酸化物質(とりわけ体にとって最良の抗酸化物質グルタチオン)を生成するよう体にシグナルを送ることができる。
HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術
ドーパミンと同様に、ノルアドレナリンもADHDに効果がある要因の1つであることは間違いなさそうです。
セロトニン
ADHDは、セロトニンの量も少ないと言われています。
で、サウナとセロトニンの関係を調べると次のような記事がありました。
ある実験で、動物をサウナ状態の中に入れると脳内セロトニンやオキシトシンが大きく変動したことが解明されています。
脳内セロトニンは、人間の場合ですと座禅などの「瞑想状態」で上昇するとも言われています。
サウナーが言う「ととのう」ってどういう状態?「最強の温泉習慣」著者のドクターに聞いた
自分の場合は特にサウナで瞑想をしているので、セロトニンの上昇効果は多そうです。
暴走を抑える
セロトニンはドーパミン・ノルアドレナリンの分泌を調整する役割を担います。
自分の経験上、サウナ後の感覚は色々あります。
- 覚醒しギラギラした状態
- 静寂の中で感覚が研ぎ澄まされた状態
ドーパミン・ノルアドレナリンだけ過剰に分泌されると前者の状態になり、セロトニンもうまく分泌できると後者の状態になるんじゃないかと思います。
そのためには呼吸を意識し瞑想状態に入ることで、ドーパミン・ノルアドレナリンの暴走を抑える必要があるんじゃないかと感じます。
経験上、瞑想状態にうまく入るのはサウナを成功させるために必須なので、感覚値とも一致しています。
DMNとCEN
脳には2種類の運転モードがあります。
- 無意識下の自動運転:DMN
- 意識下のマニュアル運転:CEN
ADHDはDMNが暴走状態にあり、常に思考で頭がぐるぐるになっている状態だそうです。
そしてサウナにDMNの活動量を減らす効果があることはわかっています。
TMS
ADHDに対してTMS治療が最近話題になっています。
「ひとの気持ちが聞こえたら」という本では、TMS治療で私以上に「別人になった」感覚が赤裸々に綴られています。
脳の機能を抑制することで、回路が芽生える
この本で医師は、TMSにより脳の特定の機能を抑制することで著者を治療しています。
われわれは、調整機能は前頭葉の部位のどれかにあると考えていて、その可能性のある箇所をひとつずつTMSで抑制していくつもりでいます
ジョン エルダー ロビソン. ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記
...
自閉症の人は調整機能が過活動になっていて、感情的なメッセージがそこを通るのをさまたげていると思われます
脳の特定の機能が動いてないのではなく、過剰に動いてしまっているのが問題であるということです。
実際に東京TMSクリニックの記事では、DMNを抑制することでDMNとCENの関係性を改善することでADHDに効果があると記載されています。
水風呂は脳にどんな影響を与えるのか
この視点でみると、水風呂で脳をシャットダウンする感覚は「DMNからCENに切り替わった」と説明されると納得感があります。
意識が脳内から外界に向かい、自分の動きが思考の上に上がるイメージです。
しかし医学的には、水風呂は脳に血液を集めると言われています。
水風呂に入って皮膚表面の血管がキュッと収縮することで、体の深い部分の太い血管に血液が集中します。それには脳の血管も含まれるため、脳の血管に血液がぐんぐん巡ります。実はこの時、脳内の余分な物質の洗い流しが進みます。血流が増えることで物質の入れ替わりが進むからです。
加藤 容崇. 医者が教えるサウナの教科書ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?
この説明だと、理論上は脳をシャットダウンするというより、脳を活性化してそうな感じがします。
血が巡る感覚は休憩のときにある
自分の感覚値としては、水風呂に入る時間が短いと脳をシャットダウンする感覚は得られづらいです。
そして脳に血が巡る感覚は水風呂から出て、1分後ぐらいにあります。
これをふまえると、
- 水風呂に入る時間が短いと、脳の血管が拡張する
- 水風呂に入る時間を長めにとると、脳の血管が収縮する(シャットダウンする)
- シャットダウン後に水風呂から出ると、脳の血管が拡張し脳に血が巡る
という感じかもしれません。
集中瞑想と観察瞑想
また瞑想の種類によってDMN・CENどちらに切り替わるかは変わると言われています。
- DMN:思考や感覚を観察する観察瞑想
- CEN:呼吸などに集中する集中瞑想
自分もサウナ中の過ごし方として、ただボーッと過ごすときや、「あー汗かいてきたなー」みたいに感覚を観察するとき、呼吸に集中する時など様々です。
一番良い感覚を得られたときは呼吸に注目する集中瞑想をおこなったときだったので、できればサウナ中は集中瞑想を行ったほうが良さそうです。
そのためにも、TVやBGMつきのサウナではなく、無音のサウナをお勧めします。
おわりに
自分の経験から逆算的にサウナのADHDへの効果を考えてみました。
結局のところ、どんなに医学的に証明されても自分と同じ身体を持つ人はいません。
なので自分の感覚値を軸に、参考情報として調べものをしていくのが一番だと思います。
ともあれサウナは入り方によって全く違う状態になり、脳をハックしてる感がすごく楽しいです。
今後も色々な入り方を試してみつつ、より良い感覚を得られる入り方を探っていきたいと思います。