相手に脅威を感じさせない方法
心理学には「単純接触効果」と言われるものがあり、人は関われば関わるほど好意を覚えると言われています。
この理論で考えると、会社でも学校でも誰とでも仲良くなれそうですよね。
しかし『相手に脅威を感じさせるか』を感じさせてしまうと、これが逆効果にもなってしまいます。
脅威を感じさせる行動と好意の関係性
人は『未知のモノ』に遭遇するとそれが脅威か脅威でないかを判断しようとします。
それが脅威であると判断すれば闘争・逃走反応がおきますし、脅威でないと判断すれば好奇心を覚えます。
つまりまだ人間関係を構築できてない状況では、何より脅威でないと相手に感じさせることが非常に重要になるのです。
スパイの例
たとえばある国のスパイは、対象に接触するために以下のステップを踏むそうです。
- 買い物の道中など、数週間毎日対象の目に入る場所に立つ。ただしこちらからはそれ以上何もしない。
- その後数週間は、アイコンタクト、眉尻を上げる、わずかに会釈する、頭を傾けるなど「親しみを感じている合図」を送る。
- こちらから後を追ったり、すれ違ったり、視線を合わせる回数を増やす。(脅威になる行動は取らない)
- 声をかけ、自己紹介をする。
このように人間関係のプロである『スパイ』も何か月もかけゆっくりと距離を近づけていくのです。
もしなかなか友人ができないと悩んでるとしたら、無意識で相手に脅威を感じさせてしまっているのかもしれません。
脅威になる行動
では、具体的に脅威になる行動を見ていきましょう。
アイコンタクト
アイコンタクトは、うまく使えば『親しみを感じている合図』となります。
しかし『1秒以上見つめる』や『冷たい表情』だと、それはネガティブに働いてしまいます。
特に全身を舐め回すように見るのは、強い敵対行動となるので気をつけたほうが良いでしょう。
アイコンタクトはあくまで「あなたの存在に気づいてますよ」というメッセージとして、さっと目を合わせ軽く微笑む程度に留めておきましょう。
距離が近い、近づいてくる
まだ親しくない状態で過度に近づかれると、脅威を覚えます。
特にもし相手が顔をわずかに引いて距離を置こうとしていたり、身体を別方向に向けていたりする場合は、相手がまだ準備ができていない状態です。
一度引いて、相手が受け入れる準備ができるまで待ったほうが良いでしょう。
ミスをしない
完璧すぎる隙のない人間は近寄り難いものです。
もちろん失敗しまくって信用を落とすのは問題ですが、言い間違いなどの軽い失敗は人間味がでて親しみを感じるテクニックにもなります。
変に自分を強く見せようとせず、適度に弱みも見せていけると良いでしょう。
緊張している
怒りや嫌悪感を覚えていると、体が硬くなり、呼吸が荒くなります。
緊張状態でいるとなんとなく居心地の悪さが伝播していくので、自分の身体が硬くなっていないか意識を向けましょう。
私のやり方が正しい
「私のやり方が正しい」という主張は、暗に相手が間違ってと主張しています。
すると相手は自分の自尊心を守るために敵対行動を取ろうとするので、仮に正しくてもその主張を通すのは難しいです。
これが「この方法について、アドバイスを頂戴したいです」であれば、相手の自尊心を傷付けず新しい方法を提案することができます。
その方法で成果が出れば、その人の手柄にもなるでしょう。
間違いを正そうとする
間違いを正したいという感情は誰にでも起こるものです。
しかしこれも相手にとって脅威となる行動となります。
この場合は間違いを正すのではなく、推論することで「こちらの間違いを正すか受け入れるか」の選択を相手に委ねることができます。
特に間違いを正したいという感情を相手側に押し付けることで、情報を引き出すこともできます。
注意点
こういった心理学のテクニックは、意識が『テクニックを実践すること』に向いて緊張を引き起こします。
そうすると「ぎこちなさ」が生まれ、逆効果になってしまいます。
これは心理学の世界では『スポットライト効果』と言います。
そのため最初はむしろ人間関係が悪化してしまうかもしれません。
本当の意味で身につけるためには、緊張しないよう注意しつつ、無意識に行えるように何度も練習する必要があります。
参考
元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法